小幡 績によるMMT批判
現代貨幣理論とは「現代ではマネーを無視していいのだ」という理論である。
理論的には、以下の4つの大きな誤りがある。
第1に、価格メカニズムをまったく無視している。
第2に、リスクという概念が存在していない。
第3に、その結果、金融市場をまったく無視している。
第4に、その結果、マネー自体を無視している。
その結果出てくる政策提言は、インフレ水準がターゲットよりも低ければ、財政支出をとことん行い、インフレがターゲットを超えたらとことん財政支出を縮小し、とことん増税する、というものとなる。
現実の政策としては、3つの害悪がある。
第1に、財政支出の中身がどうであっても、気にしない。
MMT論者の主張
「細かい政策の是非については、個別に議論すればよい。...マクロ政策として、財政支出の規模を増やすべき
「すべての人を理想的な状態まで助けることができればそれは良いが、支出にも限度があり、コストとベネフィットの見合いで、妥当な水準があるはずだ。闇雲に支出を増やすのはおかしい」と普通の人々が言えば、彼らは「いや、財政支出は、インフレ率が高くなりすぎなければ、どんどん拡大していい...歯止めはインフレだ」という。
著者による批判
インフレ率は財政支出の規模の妥当性の指標ではない
インフレは金融緩和によってマネーがじゃぶじゃぶになれば起こるものでもなく、
確実に普通の状態より起こりやすいと思うのだが、なぜおこらないの?基素.icon
需要が過剰になれば必ず起こるものでもないのである。
MMTがインフレ率だけを頼りに財政支出の規模を決めることが誤っていることを示している。
「だけ」というのは確かにあまりなさそうだけど、じゃあどれぐらい関係しているの?どうおこるの?基素.icon
日本においてはとりわけ、2013年、2014年と需給ギャップが解消されてもインフレが起きず、インフレ率は景気の指標としても有効でないことが示されているから、日本こそ、MMTをいちばんやってはいけない国なのである。 基素.icon
この批判は財政支出の規模の見積もりないのは問題だと言っている
では、必要な見積は?
第2に、金融市場が大混乱しても、気にしない
著者はcrowding outしても無視するというのを問題視している
「財政出動をとことん行って金利が大幅に上昇しても、インフレがターゲットを超えない限り、財政支出を続ける」ということが起こりうる。これは、大規模な財政支出により、民間投資が大幅に縮小する、という典型的なcrowding out(英語の元は「押し出す」の意味)を起こすということである。その結果、民間経済の活力、経済成長力は大幅に低下し、経済は長期的な大不況に陥ることになる。 MMT論者
「理論的にはそのとおりだが、現在、世界経済は低金利で困っている。とりわけ日本はその最たるものだ。したがって、金利が上がらない現代でそのような心配をするのは杞憂だ」
著者の批判
明らかに間違いで、金利が低いのは世界各国の中央銀行が無理やり低金利に押さえ込む、大規模な金融緩和を行っているからである。もし、低金利を維持したまま、大規模財政支出を継続すれば、民間の投資は、干上がってしまう。
金融緩和をして低金利だからデフレになってる?(鶏卵問題)基素.icon 金融緩和をしているのは景気を良くするためのはず
金融緩和をしたが景気は良くなっていない
日本がこうした超低金利政策をとっている理由は、大きくいって二つあります。
一つは、バブル崩壊で巨額の不良債権をかかえた大銀行を救済することです。
銀行の貸出金利と預金金利の差=利ざやが銀行のもうけになりますが、超低金利ではそれがやりやすくなります。銀行は貸出金利の下げ幅を預金金利の下げ幅より小さくすることなどで、拡大した利ざやをがっぽりかせいでいるのです。
もう一つは、日本資金の流入によって、アメリカのバブル経済を支えることです
アメリカの圧力で日本政府が低金利政策を受け入れた八五年のプラザ合意(先進五カ国蔵相・中央銀行総裁会議での合意)以来、公定歩合はバブル最盛期を除いて次つぎと引き下げられ、昨年からはコール市場金利の誘導目標もあいついで引き下げられてきました。
この結果、現在の日米の金利差はアメリカの方が五%前後も高くなっています。お金は金利のより高い方に移動しますから、日米の金利差が開くほど、お金は日本からアメリカに移動します。こうして日本資金をアメリカに流入させ、バブル株価を象徴とするアメリカの”好景気”を支えているのです。
景気が良くないから金融緩和をしているのに、金融緩和をするとcrowding outで景気が悪くなる?どっちの方がより悪いの?わからない。誰か教えてください!基素.icon 1と同じでインフレターゲットを指標とすること自体が間違いということ?基素.icon
日銀も2%って言ってるけど
3. インフレが起きにくい経済においては、財政出動は拡大され続けてしまう
日本はインフレが起きにくい
日本でインフレが起きにくい理由
1. 日本では消費者が値上げに敏感なので、企業が値上げをできるだけしないようにする
企業の価格設定行動の結果の合計がマクロ的な物価水準
日本では商品提供者はできるだけ値上げしないのである。だから、卸売物価は変動しても消費者物価にはあまり反映されないのである。
説明されている日本固有の理由はここだけ基素.icon
2. 過熱した実体経済において生み出された利益や所得は、実物財に回らず、現代ではその多くが資産市場に投資される
世界的なトレンド
モノの値段は上がらず、株式や不動産だけが上がるのである。
不動産(家賃)は上がっているものの一つ
金融緩和すると資産市場がバブルになるが
中央銀行は物価だけでなく資産市場にも目配りをしているから(少なくとも多少は)、MMT論者よりはまし
3. モノの供給が世界中からなされるために、一国内の経済が過熱しても、その国の物価が上がるとは限らない
これら3つの影響で、インフレ率は、現代においては、景気、需給ギャップの指標の役割を果たさなくなっているのである。
じゃあ何が指標なの?基素.icon
日銀の需給ギャップの見積もり
価格メカニズムが資本市場において機能しなくなり、しかも、その代わりに配分を行う主体を考えないことにより、資本の利用の非効率性が計画経済よりもひどいものになってしまう
「計画経済よりもひどい」はどういう根拠?基素.icon
ここでいう価格のメカニズムとはどのこと?基素.icon
これらを一切考慮しないことにより、経済の長期成長力が落ちる
現在と未来において「どれだけ資本を使うか、資源を今投入するか、消費するか、それとも長期的な投資に回すか、
すべての金融資本を今使い切るのではなく、将来に金融資本を実物資本に転換することのほうが効率的か
それをどのくらいのペースで、現在から10年後、20年後、100年後の未来に配分していくか
これはリソースが許せばやった方がいいだろうというのは違和感なし基素.icon